神々の島 壱岐ウルトラマラソン2019
2019年10月19日(土)
走行距離RUN:100km
総合タイム11時間46分27秒
天気/気温/風 /最高22℃/北北東
朝3:15起床。昨晩は大雨が降り続いており心配だったが、すっかり止んでいた。あまり気張ってたくさん食べても苦しくなってしまうので、パンを2個食べたのみ。あとはエイドで少しずつ補給すればよい。 薄着のウェアで来てしまって寒さを心配したが、なんてことなかった。宿からスタート・ゴール地点の「壱岐文化ホール」まで歩く間で既に身体ポカポカ。
文化ホールに到着、ポーチとか補給のショッツとか出して、50km地点とゴール地点への荷物を預けて準備完了。


今回の手持ちの品は以下の通り。
<スタート時>
 ・ボトル×1(中身アクエリ)
 ・ノーマルショッツ×1
 ・カフェインショッツ×2
 ・2RUN(塩タブレット)×4粒
 ・ロキソニン2錠
<50kmエイド預け荷物>
 ・ノーマルショッツ×2
 ・カフェインショッツ×2
 ・2RUN(塩タブレット)×4粒
 ・ロキソニン2錠

スマホで写真撮りながら走ろうかと思ったが、やめた。余裕があるうちは少しでもタイム狙いたいから写真撮るために立ち止まるなんてあり得ない。逆にグダグダになって歩くのもつらくなってきたら、写真撮っている余裕すらナシ。ってことで持って行っても結局写真なんて撮らないと判断。その分、前日に撮っておいた。







ゼッケンにはニックネームと都道府県を記入する欄がある。ニックネームは当然「ゾン」、都道府県は「八丈島(東京)」。スタート付近でプラプラしてると、隣にいた選手がゼッケン「八丈島」に食いついてきたので少し談笑。聞けば「トライアスロンにも挑戦したいと前々から思っている」とのことだったので、強く勧めておいた(ったりめーだ)。会場では恒例となっている女性MCのハイテンションな司会で開会式が続いている。マジメに開会式聞いてなかったが、ひとつ耳に残った言葉が。

「(前略)・・・そして惜しくも制限時間オーバーとなったとしても、ココへ辿りついたこと自体がスゴイことなんだと胸を張って帰って下さい」

そう、いつか聞いた「スタート地点に立つことの大切さ」がココでも語られていた。

5:00スタートで真っ暗なため、ハンディライトの無料貸し出しがある。ライト持って走るのは初めての経験。真っ暗な中、スタート地点に集合。今までにない雰囲気である。初めてなので遠慮して後方寄りに陣取った。目標タイムは12時間。でも、まずは完走が第一なのでスタート前もあまり緊張せず。いよいよ始まる。



<前半>

壱岐文化ホールを右に出てすぐにトンネルを通過、その先の港をぐるっとまわる。選手たちの持つライトがキラキラ光る。未明まで大雨だったようで、そこかしこに水溜まりがあった。集団の流れでついて行くとほどなくして上り坂、郷ノ浦大橋を渡る。まだ朝5:00過ぎで真っ暗だってのに、島民の方が家の前に出て応援してくれている。交差点には交通整理の警察官が。早くも島を上げての運営・応援だ。

郷ノ浦の市街地に入り、交差点を右折。メインの市街地だってのに早速アップダウンが始まる。ドコモショップ前で最初のエイド、水を一口もらう。ココは長い坂道、既に計画的に歩いてる選手も。真っ暗な中、狭い歩道を走るため、段差などには全て照明が設置されている。いきなりアップダウンばかりのコースなので、「上りで抜いた選手に下りでブチ抜かれ」パターンが早くも始まる。この傾向は齢をとる毎にますます加速していく。。。

ぐるっと回って文化ホール横を再度通過すると、民家も少なくなり足元がより暗くなる。こりゃライトないと走れなかったな。前日下見しなかった宇土公民館の折り返し、途中の民家ではが大声で吠え続けていた。そりゃまだ暗い中に何百人も大挙して押し寄せて来たら何事かと驚くわな(笑)ここも一旦下って上る。そこから先も常に上ってるイメージ。ゆっくり、無理せずに歩を進める。県道へ復帰して、いきなりまた上り。上りは淡々と苦しさを感じずに走れておりGOOD。それより下りだ。脚に負担を掛けないように走るが、ブレーキ掛け過ぎるのも負担。結果、ぎこちなくなってしまう。だんだんと夜が明けてきたのでライトは消灯。


※以下、俺自身が写ってる写真以外は、前日 or 翌日に撮影したもの。





<写真>大会ロゴ入り写真はオルスポで購入したもの。下りで踵から着地、よろしくないな。背後の岩が猿岩を正面から見た状態。


ダラダラと長い坂を上り切ると御津ノ辻エイド。借りていたライトを返却。下って「沼津」通過、パラパラと大粒の雨が降って来た。このまま崩れるかと思ったが、一瞬で終わった。早朝かつ曇りで冷たい風が吹いている。走るにはちょうど良いコンディションだ。大会スタッフの車がたまに通過していく。


県道から左折して猿岩を目指す狭い道路へ入る。上位は既に折り返して来て逆方向へ進んでいる。普通のマラソンみたいなペースで走ってるな。猿岩は裏側から回り込む形。一旦左へ逸れ、海沿いに出る。直前は急な上り&下り坂。脚を痛めないようにセーブして下る。左手の海からは強烈な風が吹き付け、帽子を飛ばされないよう手に持って走る。猿岩が見えてきたが、正面から見ると全然サルじゃないな。潰れた顔になってしまっている。18.6km、猿岩のエイドへ到着。さすがにココは写真撮ってる選手が多かった。朝飯が早かった&軽かったので、ここでオニギリを1個いただいておく。トイレにも寄る。

大して休憩もせず出発、「ファイト!あと80km!」の応援あり(笑)走って来た狭い道を引き返す。スタッフカーが追い抜き様に大声で応援をしてくれる。県道へ復帰、海辺へ下る。20km通過が2時間8分、悪くないペース。ここから島の北部、勝本地区を目指して北上。内海を渡る苅田院橋の手前のエイドに到着。ここで初めて
「あ、スゴイ、八丈島からだって!」
とゼッケンに食いついた方が。だんだん選手がバラけてきて、目がとまったんやな。
「乗り継ぎなんで、来るだけで疲れちゃいましたよ」
苅田院橋の先、ダラダラと続く坂を越え、下り切ると湯本地区、サンドーム壱岐のエイド。そこから街中を抜けるとグッとキツい上りが始まる。歩く選手がチラホラ出はじめる。残り75kmの幟、長い上り坂が続く序盤の難所であるが、淡々と乗り切る。昨日、下見しておいてよかった。
坂を上ったところのエイドを越え、下りに入る。ずっと下っていき、左手に逸れ、田んぼの中の小道へ。前日はそのまま県道を行ったのでココは下見していない。小さな川を渡り、まもなく海沿いに出る。道が海を離れ内陸へ向かうと、短いながらナカナカに激坂が現れる。距離も30km、キツくなってくる頃である。と、ここでエイド。助かった。次のエイドまで3.2kmの表示も。

そこから先も、山ではないのに地味にキツイ坂が続く。坂道は淡々と走る。他の選手を抜かすこともあるので、気持ちは切れることはなかった。前日おとずれた勝本港周辺に出た。港の近く、昔ながらの民家が立ち並ぶ狭い狭い路地を抜ける。軽自動車1台なら徐行で通れなくないが、基本は車が通らない石畳の路地。普通に家の窓を開けたり玄関先で応援してくれている。正に壱岐島を隅々まで体感できるコース設定である。



<写真>イルカパークで折り返してからの戻り。淡々と走れている。

路地を抜けて潰れたスーパーのとこから一般道へ復帰、港沿いに走って勝本港の「辰の島渡船場」エイドへ到着。
「おー八丈島から?さりげなくカッコ東京ってのがいいね(笑)」
「東京っすよ!品川ナンバーっすよ!」
たくさんの漁船が係留されている港沿いを走る。天ヶ原駐車場のエイドがあるが対向車線、この先で折り返してきてから世話になる。右手は砂浜、左手は地層の浮き出た崖。公式HPの冒頭の動画はココっすかね。イルカパークまで行って折り返し。パークの従業員だろうか、ハイテンションな応援をしていた。エイド手前には壱岐のゆるキャラ?「人面石くん」がおり、ハイタッチ。エイドで軽く補給して勝本港を逆走していく。ぬわっサンダル履きの女子選手が。そのサンダルの意味するとこは如何に?変態修験者でも目指しているのだろうか。
玄関先で家族で応援していた男の子が俺を指して叫ぶ。
「あ!筋肉マッチョだ!」
長男が同じこと言ってたのを思い出し、笑いそうになる。コレ、全国共通なのね。実際はというと俺は脂肪が無いから筋肉が浮き出て見えるだけで、全然マッチョではない。むしろヒョロい。

辰の島渡船場まで戻り通過、左折して勝本港を離れると、いきなり長い坂道が始まる。この辺りから、上り坂は歩いている選手のほうが多くなる。走ってるの、10名中1〜2名。俺は歩かずに走り切ることが当面の目標。ココが前半最後の難所だろうか。ここを越えると下り&フラットが多くなり、ペース維持がしやすくなる。キロ6分でも十分な速度、無理せずに走る。が、この頃から日差しが出始める。




しばらく進むとエイド。そこからちょっとだけ走るとすぐに私設エイド。ソーメンを勧められたのでいただき、塩分補給。こいつはウマい!やはりゼッケンを見て、
「八丈島?遠いところからよくぞ壱岐においで下さいました」
「こんな遠くから来てくれるなんて、大人気の大会になったじゃん」
と、喜んでもらえた。

「あと59km」の幟。残距離がだいぶ減ってきたように感じるが、まだ半分も来ていない。
そしてようやくフルマラソンの距離42.195km地点通過、4時間29分くらい。路上で選手に声掛けしている男性が。
「今のペースだと50km地点で5時間20分。この先100mくらいの坂が1回あるから。」
この人、大会の「コースアドバイザー」であり、予想タイムや坂の有無を教えてくれる有難い存在。特に坂の情報は、事前に心構えがあるのとないのとでは精神的に全然違う。
三叉路を左折、先ほど教えてもらった坂道が始まる。坂にはいってまもなくエイド。ここではミニトマトもあった。更に坂道が続き、周囲はみんな歩いてる状態。100mの坂・・・距離なのか、標高なのか。ゆっくりでも歩かず、とにかくラクなフォームを意識して走る。

その後も単調な道が続く。幸いこのあたりは坂道はなし。右手にアパート、民家が増えてきてちょっと道が狭くなったなと思ったら、唐突に見覚えのある五叉路に出る。意外に早く芦辺まで到着した。狭い路地を進み、公民館前のエイドは中?高?生ボランティア。ここ以降は、スポンジ水もらい、頭やうなじを冷却するようにしていく。序盤は早朝で風も強かったので涼しかったのだが、暑さも出てきた。直進し海辺に出る。昔ながらの「漁村」という雰囲気。こんなところまでコースになっている。橋をくぐって港に出て左手にぐるっと回って橋を渡る。
芦辺のイオンの近くを通過。50kmエイドの壱岐島総合開発センターが見えてくる。が、少し遠回りな感じになっており、ココからが意外に長い。交差点は基本ランナー優先で車をストップさせている。スタッフと、止まってくれたくれた車に対しても、軽く手を上げて感謝の意を示すようにしていく。左膝が痛くなってきたので、ロキソニン2錠目を飲んでおく。まだかよ、まだかよと思いつつ、やっとこレストステーションへ到着。


<後半>

50kmの大レストステーション、ここは休憩用の椅子とテーブルも置かれ、カレーなどの食事も出される。要するにお昼休憩の場所である(まだ10時台ではあるが)。到着して先ずはトイレに寄っておく。それからアーサの味噌汁とオニギリ1個をいただく。あとオレンジとマッチ。でもそこまでの空腹感はなく、後半のトイレの心配もあったので本格的な昼飯はやめておいた。預け荷物からショッツとロキソニン2錠、2RUN2袋を補給。椅子に座ると気持ちが切れてしまいそうなので、座らずに休憩。エイド滞在は20分程度。出発際、ひょうきんなスタッフが、
「えっ!もう行くの?もう行くの〜?(笑)じゃあ行ってらっしゃい」
と声を掛けてくれて、気持ちがほぐれた。


エイドを出てそのまま歩いている選手もいる。既にキツイのか、腹ごなしのためか。しばらくダラダラと上ったあと、左折して海まで下る。ここから左手に海を見ながら進む。ここらも漁港の目の前がいきなり民家になっている「漁村」の雰囲気。道路が港を離れるとすぐに坂道。発電所の横を通過。

坂を上り、集落を抜けると景色が開ける。左手は清石浜、強風で白波がたっている。「奈緒子」作中の波切島という名前から抱く「壱岐島」のイメージである。海からの強風で帽子が飛ばされそうなので、手に持って走る。年中強風が吹いている場所なのか、道路にも砂がかなりたまっている。50kmエイドでの休息後は一時回復していたが、左膝の痛みは着実に溜まりつつある。
50km出発後の最初のエイド。まだ3kmくらいしか進んでいないが、長く感じた。ココから先も海からの風を遮るものがなく、常に風にさらされる。前日通った道路、省略した左京鼻方面を目指し左に逸れる。観光スポットにもなっている左京鼻は半島の先端にあり、しだいに道が細くなり上り気味になっていく。57kmで次のエイド。ここを出発するとすぐに左京鼻。荒波が打ち寄せ、厳しい自然のイメージ。隣を走っていた男性選手、
「すげぇ〜」
と感激の声。写真撮ってる選手も。この半島の先端をグルッと南側へ回り、山道を下っていく。と、ものすごい勢いで下ってくる選手にブチ抜かれる。明らかに俺なんかよりハイレベルな人。これは・・・前半とことん抑えて後半50kmで超ネガティブスプリット狙いなのか?と思ってたら同じような選手が立て続けに数名通過していく。あ、50kmの部がスタートしたのか。



細い道が続く。下りが長く、脚に負担になった。民家が現れ、少し進むと港へ。港と民家の間の道路を走っていく。沿道には漁師のものと思われるウェットスーツが干してあったりと、まさに漁業の島であることを感じさせる。港の最後に「はらほげ地蔵」の前を通過。
港を離れ、はらほげ住宅街(ちがう)を抜け、県道に復帰。小学校前を通過し海沿いに出る。スタミナは全然問題なし、応援に対し「ありがとうございます」と毎回手を振る余裕あり。が、左膝の痛みが気になる。ロキソニンは残り2錠、少しでも使うのを先延ばししたい。 中盤以降、選手密度がまばらになっていたが、50kmの選手が入り混じるようになり、一気に増えてきた。後方から追い抜いて来る50kmの選手が声掛けてくれることも度々。
「100キロファイト〜、ナイスラン!」
素敵なエールである。チャリダーで峠道とか上ってると、バイクのツーリングの人が手を振って応援してくれるのに近い。自分が逆の立場になったときには使わせていただこう。

公式エイドを出てほどなく私設エイド。でもしっかり補給させていただく。海沿いの狭い道路を走り、小島神社前を通過。メイン道路から離れているのに、こんなところまで応援にかけつけてくれている。突き当り、一般道に戻ったら海に沿って左へ。その先、海沿いから離れて内陸へ入っていくと、また坂道が始まる。我慢我慢で上っていくが、ピークの手前でついに歩く。65km手前である。

坂道を下り、田んぼの広がるエリアに出るとエイド。ボトルにアクエリを補給してもらう。田んぼの中の道を進み、左折。原の辻遺跡を右手に見ながら南下。しかし脚の痛みが気になり、じっくり鑑賞している余裕はない。遺跡のエリアを巻くようにグルッと右側に折り返して戻る方向へ北上。ピンクと白の正義のヒーロー系コスプレの選手に抜かれる。
「ナイスラン、頑張って!」
と声を掛けてくれた。アンタ、その衣装で暑くないんかい(笑)風もそこそこあったので、マントも抵抗になるだろうに。。。原の辻ガイダンスのエイド。この頃から、冷却用のスポンジが2個必要になってくる。
しばらくは平坦な田畑の中の道路を進む。苦しさはないが、左膝の痛みだけはいかんともしがたい。痛みが溜まってきて耐えがたくなってきたら、一旦路肩で止まって何度か曲げ伸ばしをする。これで少し回復する。ロキソニンは残り1錠、少しでも使用を先延ばしさせたいところ。島の小学校の先生だろうか、子供たちが並走している。苦しくなってきたところでエイド。ここから先もしばらく平坦とのこと。
田畑の広がるエリアを走るので平坦。日差しは出ており、暑い。70km地点でちょうど8時間くらい。八丈島エコジャニに初めて出たときは63kmで8時間40分かかったから、大した進歩ではある。まだまだ先は長いイメージだが、残り29kmの幟。「こんなん練習で普通に走っている距離だろ」と自分に言い聞かせる。この1kmずつカウントダウンしていく幟が、折れそうな心を何とか支えてくれる。

県道との交差点を突っ切り、安川建設前のエイド。トイレもあったが、大丈夫そうなので先を急ぐ。
その先、私設エイドを通り過ぎたところでおっちゃんが小走りに並走してきた。
「島は台風の雨、大丈夫でした?」
「はい、八丈は風は強かったけど雨は平気でした」
「そうか、よかった」
「ありがとうございます」
こんな交流まであった。ゼッケン「八丈島」大正解。

筒城小学校前。なんか逆方向から走ってきている選手の姿があるが、WHY?50kmの部はコースが違うとか?いやいや、単純に後半の50kmを走ってるはずだから、ショートカットとかないはず。ともあれ、学校前を過ぎ、坂道を登っていく。沿道の男性が声掛けをしている。
「1kmくらい道なりです」
前を行く選手、右側の日陰部分を走っていたが、左を走るように注意を受ける。日差しは出ていたが、暑さでやられるほどではない。夏場の練習が生きてきたのか?急な坂道を下っていくと、また漁港のある集落に入る。港に出ると、漁民センター前のエイド。ここの中学生たちは殊更に元気がよく、再出発のときには、
「ゾン!行けーっ!!」
と、ハッパをかけられた。本当に、こういった応援で背中を押してもらわなければ、気持ちが切れてしまっていただろう。


<写真>印象的な海岸の風景。大会パンフの表紙は、おそらくこの写真の奥に見えている岩の間を抜ける坂道と思われる。


波の荒い、弓なりな海岸。道路が浸食されたような岩壁の間を通っており、荒々しい自然のイメージ。坂を越えていくと畑の中に出る。しばらく進んで右折して遊歩道へ・・・と思ったら間違い。もう少し進んで港で折り返してから遊歩道に入るコースだった。
ってことで先の港で折り返して戻ってきて、道路を左に逸れて公園内を進む遊歩道に入ると、すぐにコースアドバイザーが。
「はい今のところ11時間30分のペース、スゴイよコレ」
路面はタータンであり、ジョギングコースにでもなっているのだろう。キレイに整備された公園。前日見た巨大な鳥井がある場所、おそらく駐車場付近がエイドになっているはずだが、公園内をぐるっと遠回りしており、なかなか近づかない。やっとこさ到着、筒城浜エイド。浜は見えないけど、とってもキレイらしい。

その先また坂道があるが、この区間は「え、もう?」と思うほど。エイド間の距離が短かった。でもしっかりドリンクとかいただくけどね。後でコースマップ見直してやっと理解できたが、ココは筒城小学校横の交差点。さっき走ってきたコースとすれ違っているのだった。逆方向へ走っていたのは先行している選手だった。そこから先はちょくちょく坂道が続くが、とにかく「ゆっくりでも歩かない」ことだけ考えて走る。まだまだ先が見えなくしんどいが、残り距離は着実に減っている。前日行った壱岐空港前は通らない。ちょい残念だが、これは仕方あるまい。道路を右折し、また民家の少ないエリアに入る。スタート直後から、いたるところに消防署員が監視に立っている。本当に島を上げての運営だ。



<写真>壱岐で一番美しいと言われる錦浜を通過、85km付近。苦痛でだいぶ顔が歪んでいる。


と、唐突に錦浜に出た。この辺りは前日に違うルートで走っていたので方向感覚がわからなくなっていた。錦浜エイドを出発するとすぐに坂道。ここも激坂レベル、しかもそこそこ長い。たまらず歩いてしまう。
下っていき、左折。1人で私設エイド設置している女性が。マラソン観戦が大好きだとか。当然「八丈島」にも食いついてくる(笑)。浄水器で作った美味しい水をいただき、再出発。少し走れば次の公式エイドであると教えてくれた。

しばらく進むと民家が現れ、そのまま港へ。また漁港と目の前の民家の間を通り抜けるコース。印通寺港、思ってたより早く到達した。港から県道に出るとすぐにマリンパル壱岐のエイド。ここはエイドが道路際ギリギリに設置されている。港のほうへ左折してしばらく進み、右折、印通寺港の地区を離れ民家のほうへ進む。坂道が始まる・・・激坂が始まる。壁のごとき坂道が。ナニコレ?道路沿いの民家前でおじーおばーがのどかに観戦している横を、選手たちがゼーハーヒーヒー言いながら目を血走らせながら歩いて上っていく。終盤の坂3?連発が始まった。

前日道間違えたT字路手前、バイクに乗ったコースアドバイザーが現れる。
「1つ目の坂はこれで終わりだから!」
T字路を左折、しばらく上っていくとだんだん傾斜がキツくなる(一つ目の坂、終わっていない・・・)。前の女性選手が歩き出す。俺はもう少し先まで頑張って走り続けたが、最後まで持たず、途中から歩く。上り切ったら久喜へ向けての下りが始まる。島の南部の海が一望できるポイント。が、下りがキツイ。特にココは傾斜がキツ上に長く、痛めている左膝にガンガン響く。最後のほうは歩くような感じにしないと左膝が限界になりそうだった。




91km地点、久喜バス停のエイド。だいぶゴールまで近づいてきた感じがする。気づけばGARMINの距離表示も98kmとか見たことのない数字になっている。が、ここからが最後にして最大の難関。エイドのすぐ先、右手の山道に進むと「ラスボス」と称される坂道が始まる。最初の数10mは走ってみたが、まぁ無理である(笑)。すぐに歩きだす。前後見渡しても全員が全員歩いてるという、初めて見る光景。100kmも50kmも関係ない。全員歩いてる。この坂を走って上れるの、上位数%の選手だけなんじゃ?50kmの部だったとしても、とんでもなくハードなコースである。しかも一旦緩やかになったあと、再度鬼の傾斜に。それが3回くらいある。50kmの選手に話しかけた。
「無理っすよね、コレ。ありえねー」
「練習で走りに来たことあるんですけど、走っては上り切れなかったっすね」
地元の方だったようだ。だいぶ上ったところで1人だけ、後方から走って来た選手がいた。でも走ってる姿見たのこの1人だけ。ココでまた現れたコースアドバイザー。
「2つ目の坂、これで終わりだから。よくココまで頑張った!この先小さい坂が1回、その後ダムの橋を渡った先が3番目の坂。それ上ったら残り5kmは全部下りだから。」

「小さい坂」ってのが一体どこを指していたのか、どれもキツくてそこそこ長く感じたので、もはや分からなくなっている。鬼の坂が終わってちょい下り、当田ダムの橋を渡ったところでエイド。残り距離が少なくなっているので、補給もあまり必要なくなってくる。この辺りはハッキリ言ってあまり覚えていないが、ジリジリと上りが続いていた記憶。地図上での「3番目の坂」を通過しているが、基本坂道の連続でいつ越えたのか把握できなかった。もう激坂でないところでも、坂は全員歩いている感じ。辛うじて、50kmの選手に走れている人がいるかいないかってレベル。残り5kmの幟を過ぎるが、まだまだ山の中であり、全然ゴール間際の雰囲気がない。次のエイドまで僅か1.7kmの区間なのだが、思い返してみても遥かに長く感じた。ここの中学生たちはかなり積極的であり、エイドよりも何10mも手前に出てきてレモンとオレンジを勧められた。ゴールまでもう僅かで軽くアクエリすするだけで良いかなって思ってたので、
「大丈夫、ありがとう」
といって断ろうとしたが、なかなか押しが強く、
「え〜食べないんですかぁ?」
と、悲しそうな瞳でレモンとオレンジを強要勧められたので、
「負けました」
と、レモンをいただく。
残り4km切った。もはや近所の散歩の距離と思いペースを上げ、チンタラ走りではなく練習のときのようなフォームになる。前の2選手も同じような感じ。夕日に向かって走ってる状態。ついに海が見えてきた。ゴールのある郷ノ浦地区が近いことがやっと感じられるようになった。下りに入ったが、逆に左膝に響き、思うように走れない。ラスト数kmだが、左膝の痛みは短い間隔で襲ってくる。止まって屈伸、すぐに走りだすが、途中で抜かした選手に何名か抜き返される。スタミナはまだ余裕あるだけに歯痒い。長く急な下り坂で、前方にガニ股走りになってる選手が。俺と同じ状態のようなので声を掛ける。
「下りのほうがキツいね、脚痛くなってくると」

街並みが見渡せるところまで下ってきた。左折し、郷ノ浦大橋へ。橋の僅かな傾斜すらキツい。屈伸ストップ中に抜かれた前の4選手は一気にペースダウンしたので抜き返していく。橋の上から左手を見渡すとフェリーターミナル、そして海が一望できる。スタート直後の夜明け前に走ったこの場所を、最後にこうやって夕陽を真横から浴びながら走るってのがイカしたコース設定である。
ぐるっと回って最後のトンネル、上り坂かなって思ってたら全然平坦で一安心。ペースを上げるが前の選手も当然ペースが上がっており、差は縮まらないまま。トンネル抜けて左へ曲がって壱岐文化ホールへ。MCにより名前と紹介が読み上げられる。ココはニックネームではなく本名。自然と拳が上がる。100kmフィニッシュ!


・・・無事終わった。振り返って軽く一礼。興奮でよく覚えていないが、ハイテンションMCにより、
「初めての100km、何と八丈島から参加、ものすごいチャレンジをしてくれました」
みたいなことがアナウンスされていた。完走メダルは遺跡からの出土品をイメージしたかのような渋いデザイン。記録証の11時間46分という、過去最長の時間を見るにつれ、本当に走れたんだという実感がわいてきて、一瞬ウルっときた。ようやく、一歩踏み出せた。タイムは目標より少し早く、つまるところ予想通りだった。順位は100km男子で87位/366人、まぁこんなもんか。前半の感じから、もう少し早く・・・11時間前後でゴールしたかったなと、欲も出てきた。


前半こそ余裕あり、坂道では歩いている選手を淡々と抜いて行けたが、50km手前から左膝が痛みだし、後半の6時間はひたすら我慢我慢の状態。しかし、めまぐるしく変わる景色、壱岐の魅力(と坂道)を詰め込んだ飽きさせないコース設定、地元中学生たちによる元気いっぱいのエイド、何よりスタートからゴールまで途切れることのない島の方々の応援により、長さを感じなかった。キツイけど、常に「楽しい」という気持ちで走れていた。っていうかメチャクチャ楽しかった。痛みを我慢し続けていたにも関わらず。この大会でなかったら、苦痛だけが記憶に残り、嫌いになっていたかもしれない。

初100kmの舞台に選んだのが壱岐島で本当によかった。







※高低図は大会HPより拝借


コースの高低図を見た感じでは、前半と終盤にいくつかある難所を除けば、他は小さなアップダウンだけで全体的にフラットなイメージ。最高標高も高々150m、本格的な峠越えもない。確かにその通りかもしれない。が、その「小さなアップダウン」もナカナカ傾斜のキツイところが多く、想像以上にハードだった。それは終盤になるにつれ、厳しさを増していく。久喜から始まる「ラスボス」も「距離5kmで高低差150mならフツーじゃん」って思ってたが、想像を遥かに超越する鬼畜仕様だった(笑)

GARMINはGPSをONにしておくとバッテリーがゴールまで持たないのでOFF。一応、加速度センサで速度&距離は出るが精度は落ちる(ゴール時点で距離107kmになっていた)。 ペースは走っている区間についてはほぼ一定で行けている。序盤は意識して抑え、中盤以降は脚への負担を避けるために省エネ走りを徹底。移動中の速度はキロ6分数秒、悪くないが、もっといけたはず。激坂区間で何度か歩いたのは残念だが、スタミナ的には限界という感じではなく、夏場の練習の成果は多少はあったかなと。でも左膝が痛くなってしまうのも練習と同じ、これは何とかしないと。この痛みが出なければもっと満足行く走りになったはず。目標タイムだった12時間は切れたが、宿まで2kmくらい普通に歩いて帰っているので、頭が真っ白になるまでは出し切れていない。

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